評価、分析について

国際開発学分野の評価や統計的分析手法について勉強しています。日々学んだことを記録していきます。

母分散比の検定

母分散比に対する仮説検定

二つの異なる母集団の母分散が等しいかどうかを検定する。
二つの正規母集団の母平均が等しいか否かの検定の際に、母分散が等しいかどうかによって検定方法が異なるため、母平均の検定の際にはまず母分散比を確認する必要がある。

 

 仮説設定

帰無仮説H_0:\sigma^2_1=\sigma^2_2

対立仮説はH_1:\sigma^2_1\neq \sigma^2_2


検定統計量

母分散の比の検定は、検定統計量
F=\displaystyle{\frac{s_1^2}{s_2^2}}を用いる。

 

ただし、 \displaystyle{s_1^2=\sum (X_1-\bar{X})^2/(m-1)},

\displaystyle{s_2^2=\sum (Y_1-\bar{Y})^2/(n-1)}

 

帰無仮説が正しい場合、Fは自由度(m-1, n-1)のF分布(m-1, n-1)に従う。

 

仮説検定

対立仮説が両側検定の場合

F_{1-a/2}(m-1,n-1) \lt F \lt F_{a/2}(m-1,n-1)のとき帰無仮説棄却しない。


対立仮説が右片側検定の場合
H_1:\sigma_1^2 \gt \sigma_2^2
F \gt F_a(m-1,n-1)のとき帰無仮説を棄却する。


対立仮説が左片側検定の場合
H_1: \sigma_1^2 \lt \sigma_2^2
F \lt  F_{1-a}(m-1,n-1)のとき帰無仮説を棄却する。

 

注意
{\displaystyle F_{1-a}(n-1,m-1)=\frac{1}{F_{a}(n-1,m-1)}}

 

問題

ある工場では製造機械A,Bを導入したところ、機械Aでは11個のサンプルで重さの標本標準偏差が1.1kgであり、機械Bでは11個のサンプルで重さの標本標準偏差が0.9kgだった。この二つの機械で製品の均一さに違いがあるか、有意水準5%で検定せよ。

2標本の母分散比{\displaystyle \frac{\sigma_A^2}{\sigma_B^2}}について検定する。

 

帰無仮説H_0:\sigma_A^2=\sigma_B^2

対立仮説はH_1:\sigma_A^2\neq \sigma_B^2

 

自由度m-1=11-1=10, n-1=11-1=10のF分布を用いる

有意水準5%で両側検定なので、棄却域はF_{0.025}(10,10) \lt F \lt F_{0.975}(10,10)となる。


計算すべき統計量は

{\displaystyle 0.269 \lt F=\frac{s_{A}^{2}}{s_{B}^{2}}=\frac{1.1^{2}}{0.9^{2}}=1.49 \lt 3.717}

したがって、帰無仮説は棄却されない。A,Bに差はないと言える。