母分散比の検定
母分散比に対する仮説検定
二つの異なる母集団の母分散が等しいかどうかを検定する。
二つの正規母集団の母平均が等しいか否かの検定の際に、母分散が等しいかどうかによって検定方法が異なるため、母平均の検定の際にはまず母分散比を確認する必要がある。
仮説設定
帰無仮説は
対立仮説は
検定統計量
母分散の比の検定は、検定統計量
を用いる。
ただし、 ,
帰無仮説が正しい場合、Fは自由度(m-1, n-1)のF分布(m-1, n-1)に従う。
仮説検定
対立仮説が両側検定の場合
のとき帰無仮説棄却しない。
対立仮説が右片側検定の場合
のとき帰無仮説を棄却する。
対立仮説が左片側検定の場合
のとき帰無仮説を棄却する。
注意
問題
ある工場では製造機械A,Bを導入したところ、機械Aでは11個のサンプルで重さの標本標準偏差が1.1kgであり、機械Bでは11個のサンプルで重さの標本標準偏差が0.9kgだった。この二つの機械で製品の均一さに違いがあるか、有意水準5%で検定せよ。
2標本の母分散比について検定する。
帰無仮説は
対立仮説は
自由度のF分布を用いる
有意水準5%で両側検定なので、棄却域はとなる。
計算すべき統計量は
したがって、帰無仮説は棄却されない。A,Bに差はないと言える。