系列相関
系列相関とは
系列相関とは自己相関ともいい、時系列データを用いた回帰分析で問題になる。誤差項の間に相関関係があることを意味する。
通常の回帰分析においては、誤差項には系列相関がないことが仮定されている。もし系列相関がある状態で回帰分析を行うと、回帰係数はBLUEにはならず、推定値に疑問が残る。
具体的には、t値、F値、決定係数を大きめに計算してしまい、本当は有意でないものを有意であるとみなしてしまう。
系列相関がある例
誤差項uに1階の系列相関がある場合
被説明変数が一期前の自己の値とによって説明されるモデルを1階の自己回帰モデルという。AR(1)モデルと表される。
,
は自己回帰係数、は確率誤差項。
このとき、は、が正で大きければ、一期前のと同じ方向に動く。もしが-1に近ければ、 は、と反対に動く。
系列相関と自己共分散
自己回帰係数はとの間の相関を表す。つまり、
自己共分散=
自己相関係数=
誤差項に系列相関が生じる原因
・重要な説明変数がモデルから欠落している
・経済行動(消費、貯蓄、投資、輸出入など)における習慣性
・あるショックの経済的影響が期間内で終息せず、次期以降にも及ぶ場合。
・関数型の特定かの失敗
・時系列の回帰分析の時間単位が短いほど前期の影響を受けやすい
ダービン・ワトソン(DW)統計量
1階の系列相関が存在しているかどうかをチェックするための統計量。
OLSの残差をとすると、
ダービン・ワトソン統計量DWは、サンプル数が十分大きいとき、次式によって近似される。
系列相関とDW統計量の関係
p | DW | |
負の相関関係 | -1<p<0 | 2<DW<4 |
系列相関なし | p=0 | DW=2 |
正の相関関係 | 0<p<1 | 0<DW<2 |
DW検定
1階の正の系列相関を見つける場合
帰無仮説 | H0 | p=0 |
対立仮説 | H1 | p>0 |
を棄却(1階の正の系列相関あり)
を棄却も採択もできない(判定不能)
を採択(系列相関なし)
1階の負の系列相関を見つける場合
帰無仮説 | H0 | p=0 |
対立仮説 | H1 | p<0 |
を棄却(1階の負の系列相関あり)
を棄却も採択もできない(判定不能)
を採択(系列相関なし)
DW検定留意点
・定数項のない回帰モデルではDW検定は利用できない。
・回帰モデルの説明変数の中に、ラグ付き説明変数が入っている時も利用できない。→ダービンのh統計量を用いる。
・高次の系列相関には利用できない。→ブロシュ・ゴドフレイ検定